ご縁のタイミングって不思議なもの。
知り合ってすぐにとんとん拍子で会える時もあれば、随分時間がかかってようやく会える時もありますよね。
電話でやりとりを始めて1年、先日ようやく会えたのは、画家の竹之内みどりさんです(写真左)。
子育てで忙しい毎日を送る中、「趣味になればいいな」くらいの軽い気持ちで絵画教室に通い始めたのが35歳の時。
ところが、瞬く間に絵の奥深い世界に魅了されて才能を開花させ、美術展で数々の受賞に輝きます。
「絵を教えてほしい」と指導の依頼も増えたことから、60歳を目前にした9年前、鹿児島市星ケ峯に自宅開放型のアトリエを開設。以来、定期的に絵画教室を開催しています。
3年前から絵画教室に通う後藤真喜子さんも「みどり先生はとにかく褒め上手で伸ばし上手。ここで絵のアイデアをいただきながら絵筆を持つ時間がすっごく豊かな時間なんです!」と目を輝かせます。
2階はカフェギャラリー
そんなアート好きの人にとって癒やしの空間となっているのが、アトリエの2階にある「Cafe &ギャラリー バンブー」。
「アートを通して多くの人が集まる空間にしたい」とみどりさんが一人で切り盛りするカフェギャラリー。壁面にはみどりさんの作品、テラスへ続く大きな窓からはまるで一枚の絵画のよう景色が広がります。
パスタやオープンサンドを中心とした軽食やデザートも、全てみどりさんの手作りです。
みどりさんの娘は女性落語家!
そんなみどりさんに会えることになったのは、とあるイベントがきっかけでした。
9月6日に霧島市民会館で開催予定だった「きりしま寄席 春風亭昇太・桂竹丸 二人会」。
このイベントで前座として高座に上がる予定だったのが、みどりさんの一人娘で鹿児島初の女性落語家・三遊亭あら馬さんなんです。
「プロの落語家を目指したい」と39歳で落語の世界に飛び込んだあら馬さんは現在、前座修業の4年目。
「こうと決めたら突き進む」娘の性格を知るみどりさんも、さすがに39歳での入門には反対した、と振り返ります。
「だって男性社会で縦社会。しかも結婚して子どもが2人いる状況で修業を続けられるはずがない、と反対を通り越して呆れました。でも下積み生活で悔しい思いをいっぱいしているはずなのに、やめないで頑張ってるんです」
あら馬さんの落語に対する情熱が本物であることを知り、今では全面的に応援しているみどりさん。「三遊亭あら馬地元後援会事務局」を立ち上げ、エールを送っています。
そのあら馬さんが霧島市の寄席で高座に上がると聞き、「ぜひ私もあら馬さんの落語を聞きたい」とリクエスト。購入したチケットを受け取るご縁でみどりさんを訪ねたというわけです。
ところが、みどりさんに話をうかがっていた最中、あら馬さんから「台風10号の接近でイベント延期が決定した」との連絡が入りました。
残念ながら、三遊亭あら馬さんに会えるのは来年の3月22日と半年先に…。
でも「中止ではなく延期でよかった」と安堵の表情を浮かべるみどりさん。
先天性胆道閉鎖症を患いながらも前座修業を続けるあら馬さんの山あり谷ありの話を聞くうち、私も半年後の寄席がさらに楽しみになりました。
これからの半年、カフェギャラリーに通ってみどりさんに元気をもらいながら、寄席への期待を膨らませていこうと思います。