誰にも自分の好きな色ってありますよね。
私なら見ているだけで元気が湧いてくるビビッドなオレンジ。「ビタミンカラー」ともいわれますが、文房具やキッチングッズを選ぶとき、無意識にオレンジのものを選んでいることがよくあります。
今回紹介するのは「紫」が大好きな女性。
紫にこだわり続けた結果、全国的にも珍しい、色鮮やかな「紫やまいも」の生産に成功し、日々販路拡大を目指して奮闘しています。
紫色のやまいもに一目惚れ
その女性は、鹿児島県曽於市の農園で「紫やまいも」を栽培している田之上より子さん。
手にしているのは半年かけて育てた「紫やまいも」で、化学肥料や除草剤などの農薬は使わず、堆肥だけで育てています。
「紫やまいも」は、活性酸素を抑える働きを持つポリフェノールを多く含み、昔から山薬として重宝されてきた健康野菜。
品種によって紫の色の濃さが違いますが、田之上さんは、紫色がより鮮やかなやまいもの栽培にこだわってきました。
でも、なぜ紫の色にこだわったのでしょう?
実は今から25年ほど前、ポリフェノールを多く含むブルーベリーが体にいいということで空前のブルーベリーブームが起こったことがきっかけでした。
ポリフェノールといえば紫、ということで「紫色の食べ物は体にいい」と直感。
「その頃、紫やまいものことを耳にして探したら、皮も中のお芋の部分も紫色の紫やまいもを見つけたんです。でもその紫やまいもは色が薄かったので、もっと濃い紫色のやまいもを作ってみたいと思い、本格的に栽培を始めました」
元々、野菜づくりが趣味で、仕事や子育ての合間に家庭菜園を楽しんでいた田之上さん。
40代からの挑戦でしたが、苗から育てるうちに品質が向上。
地道な栽培の末、ポリフェノールをたっぷり含んだ、色鮮やかな紫やまいもの生産に成功しました。
紫やまいもを一年中食べたい!
ところが、理想の紫やまいもが完成したものの、次の壁にぶつかります。
というのも紫やまいもは長期保存が難しく、せいぜい3カ月ほど。それでは半年間かけて栽培した紫やまいもを多くの人に食べてもらえないのです。
「もっと多くの人に食べてもらうためには、どうすればいい?」
田之上さんのすごいところは生産者の立場にとどまらず、販路拡大を目指して加工品づくりにも取り組み始めたこと。
紫やまいもは一年に一度しか収穫できないため、加工品づくりも一年に一度しかチャンスがありません。
これまた試行錯誤を繰り返し、ようやく2年前、フリーズドライ製法で紫やまいものパウダーが完成しました。
紫やまいものネバネバは圧巻!
「ほら、水を加えるだけでこんなにネバネバのやまいもができるんです」と目の前で紫やまいもの威力を見せてくれた田之上さん。
「皮をむく手間もなく、いつでも紫やまいもを食べられるようになったことが何よりも嬉しい」と話す田之上さんに影響を受けて、私も使ってみることにしました。
「紫やまいものおかげで元気なの」といつも笑顔の田之上さんは、60代とは思えない艶やかな肌も印象的。
「私も毎日紫やまいもを取り入れたら、ポリフェノール効果で艶やかな肌になれるかも…」
ひそかな期待をふくらませながら、田之上さんの情熱がギュッと詰まった紫やまいもパウダーを愛用する毎日です。
曽於市末吉町諏訪方8312-3