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50代から自分の「好き」を極めていけるって幸せ! 田中有紀さん

新しい形で仕事を始めて間もなく2か月。
手探りで進めていると「これってどうするのがいい?」と迷うことが次々に出てきます。

そんな時、ヒントを示してくれるのが一足早く起業した先輩女性。すでに何度も荒波もくぐり抜け、自分の道を突き進んでいるだけに、そのアドバイスは的確で、進むべき道をさりげなく照らしてくれるんです。

先日も「粉末塩麹」を製造販売している「てづくり食工房 くるくま草」の高倉圭子さんに「クリエイティブの仕事って料金設定が難しいんですよね」と話すと、「じゃあ、ゆきちゃんに会ってみるといいよ。彼女、ご主人と写真館をやってるんだけど、試行錯誤しながら料金改定を実現してるから」とうれしいアドバイス。

というわけで訪ねたのが、鹿児島市吉野町にある「PHOTO STUDIO POPPO(フォト スタジオ ポッポ)」ディレクター・田中有紀さんです。

開口一番、「私たちの仕事って、自分で自分の価値を低く見積もりがちよね。特に私はとてつもなく安売りしてたらしいの」と有紀さん。

果たして、有紀さんは自分の価値をどのように高めていったのでしょうか。

長男の一言が変わる原動力に!

この写真は、今から3年前、有紀さん夫婦が銀婚式の日に撮影した家族写真。有紀さんの隣に映るのが、夫でカメラマンの田中光夫さん(通称:ポッポさん)。二人の息子さんとお嫁さんに囲まれ、見ているこちらまで幸せな気持ちになれる一枚です。

元々は独身時代、大手アパレルメーカーでデザイナーとして働いていた有紀さん。24歳の時、Uターンし結婚。ポッポさんのスタジオ設立に伴い、撮影のディレクションから衣装や背景セットのコーディネート、アルバム編集まで一手に担ってきました。

しかも多才ゆえに有紀さんの仕事は増すばかり。ヘアメイクや着付け、衣装の製作といったスタジオ業務はもちろん、名刺やパンフレットの制作などの依頼も増え、目の前の仕事に必死に取り組む生活が続きました。

そんな有紀さんに転機が訪れたのは7年前。18歳になった長男の風太さんがスタッフとして一緒に働き始めた時のことでした。

「長男が私たちの仕事を見て『クレイジーだ』って言ったの。仕事にこれだけの手間と時間をかけて取り組んでいるのに、収益が低すぎるって。そして『自分たちのやっている仕事の価値を見直して適正な料金設定にする必要があるよ』って言われたの」

「クレイジー」の一言に衝撃を受け、有紀さんは料金改定に取りかかります。

「例えば、25,000円のプランを45,000円と料金を2倍近くにして1日の予約枠を半分くらいにしたの。すると顧客単価が上がっているから利益は一緒。しかも数を抱えなくていいから、一つひとつの仕事のクオリティーが上がって今まで以上にいい仕事ができるようになったの。自分の強みや価値が分かってくると自信を持って適正な料金をいただけるってことよね

自分たちの強みを見える形に

昨年、長男の風太さんが結婚し、妻の恵美さんもスタッフに加わったことで4人体制になった「フォトスタジオポッポ」。

写真館業務の繁忙期は11月〜1月。通常期の今はそれぞれの得意を持ち寄ってスタジオの強みを洗い出し、お客様に見える形にしようと「可視化」に取り組んでいます。

まずは6月にホームページを刷新し、スタジオの入り口にはフォトギャラリーを設置。

「スタジオは撮影する場所だから、今まで壁に何かを飾ることはしてこなかったんだけど、自分たちの力をお客様に分かってもらうためには『可視化』が必要だと思ったの。このスタジオではどんな写真が撮れてどんなことができるのか、このギャラリーを見れば一目瞭然でしょ」

「着物って楽しい」を伝えたい!

さらに、新しく立ち上げたのが「カジュアル着物研究所  イトサン」です。

実は有紀さんは大正浪漫の香り漂うレトロモダンな着物が大好きで、これまでに集めた着物は250着にもなるんだそう。

これらの着物は撮影用の衣装として使用しています。

ただ「250着あっても、お客様は着物と帯をどう組み合わせればいいか分からない。それなら一目で分かるように可視化しなきゃ」ということで、さまざまな着物コーデをひたすら撮影。7月からインスタグラムで紹介する取り組みを始めました。

インスタ「ぽっぽの衣装部屋」をのぞくと「呉服屋さん?」と思うほどバリエーション豊か。しかも個性的でキュートな着物コーデが並んでいます(インスタはstudiopoppo_closet)。

最近では「着物の楽しさをママ世代にも伝えたい」と洋服感覚のオリジナル子ども着物も製作。

そして、こちらが有紀さんの着物姿。なんとも艶やかで、まるで大正時代にタイムスリップしたかのような佇まいです。

「着物を着るだけで心ときめくし、着物がくれる幸せな気持ちを多くの人に伝えたいの」と目を輝かせる有紀さん。家族の後押しもあり、52歳の誕生日を機に自分の強みを生かした活動を始められたことに喜びを感じています。

子育てもひと段落し、これから自分がやっていきたい仕事は何だろうと考えた時、『自分の大好きな着物を強みにすればいいんだ』とようやく気づけたの。随分時間がかかったけど、自分にとって52歳の今が働き方を考えるタイミングだったんだと思う」

なるほど…。時間はかかったとしても、50代になって誰よりも情熱を傾けられる分野に絞り込み、新しい価値をプラスできるって素敵なことですよね。

奇しくも有紀さんと同い年の私。

「着物を着るだけで旅行気分を味わえるのよ」と楽しそうに話す有紀さんの笑顔を前に、「着物は窮屈と思い込んで敬遠してきた私って、日本人としてもったいないことをしてるのかも…」。そんな気すらしてきました。

まずは一度、レトロモダンな着物に袖を通してみたいと思います。

「フォトスタジオポッポ」
☎︎099・295・7077
鹿児島市吉野町8510−4
営業時間:10時〜15時
(土・日曜は〜16時)
定休日:火曜・水曜
ホームページ ⇨フォトスタジオポッポ
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