2020年7月、厚生労働省が発表した日本人の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳。
毎年、平均寿命が発表されると「この数字は発表の前年に生まれた赤ちゃんの平均寿命なんだから…」と思いがちです。
もちろん、そうなんですが、平均寿命の中間地点を折り返した私たちの平均寿命が88歳より短くなるかというと、決してそんなことはありません。
簡易生命表によると、今年52歳(昨年51歳)の私の平均余命は37.54年。
つまり、51歳+平均余命37年=88歳が昭和43年生まれの人の平均寿命というわけです。
この計算でいくと、60歳の人の平均寿命は89歳、70歳の人は90歳となり、「人生100年時代」は決して特別なことではないことが分かります。
そんな中、気になるのは「元気に歳を重ねるためにはどうすればいいの?」という疑問。
そこで、人生100年時代を生きるヒントを教えてもらおうと、87歳の現役スイマー・河野累子(こうの るいこ)さんを訪ねました。
85歳の時、全国大会で新記録!
鹿児島市田上に住む河野累子さんは、昭和7年12月生まれの87歳。
「私、米寿のお祝いは満88歳の時と思ってたけど、数え年でお祝いするんだそうで一足早く、いろんな方にお祝いしてもらいました」
笑顔が何とも愛らしい累子さんが一躍注目を浴びたのは2年前。全国マスターズスイミングフェスティバルの85歳以上の部で、大会新記録を樹立したのです。
一番の得意種目はバタフライ。87歳の今も週3回はセイカスポーツクラブのプールに通い、1日1500m泳ぐ生活を続けています。
こう書くと、ずば抜けた身体能力を兼ね備えたスポーツ選手と思いがちですが…。
実は若い頃に泳いだ経験など一度もなく、編み物店の経営に追われてスポーツとは全く無縁の生活を続けてきた累子さん。
膝の痛みに悩んでいた53歳の時、「泳ぐのがいいらしいよ」と知人に勧められて始めたのが水泳でした。
「それまで必死に仕事をしてきてスポーツを楽しむ余裕もなかったから、初めて泳いだ時、すごく楽しかったんです。もちろん、水泳はこれで完璧ってことがないから難しいけど、泳ぐたびに発見があるし、大会では一つのレーンを自分一人で泳げて誰にも邪魔されない。『こんないい競技はないよ』ってみんなに勧めてます」
累子さんの周りにはいつも仲間がいっぱい。
しかも87歳の累子さんが一番の旗振り役で、先日、12月に久々に開催される大会に出場するかどうか、コーチに聞かれた時も、真っ先に手を挙げたのが累子さんでした。
「どうせ大会に出るんだったら、自分から勢いよく手を挙げた方がいいでしょ。私の場合、来年があるかも分からないし、今年が最後だと思って泳ぐから精一杯頑張ろうと思えるの」
目標に向かってひたむきに取り組むのも、健康寿命を延ばしたい一心から。
「100歳まで生きたいとは思わないけど、健康寿命で終わりたい、それが私の望み。そのためには人より少し頑張らなくっちゃ、この歳まで健康でいられないと思うの。水泳の練習で少し楽をしたいなと思う時もあるけど、筋肉が落ちないように練習も工夫してます」
そんな頑張り屋の累子さんですが、普段の生活ではどんなことを心がけているのでしょう。
そのあたりは次回の記事で紹介します。
⇨「たそがれを夕映えにする3つの心得」