新型コロナウイルスと共に生きる「withコロナ」の時代。「鹿児島での新しい日常」シリーズ第2弾で訪ねたのは、天文館の旧タカプラ裏手に店を構える「食酒楽 哲太」です。
緊急事態宣言後の休業要請を受けて多くの飲食店が休業し、5月7日以降営業を再開したものの、客足の戻りが鈍いといわれる天文館。
いつもは笑顔いっぱいの女将・福島生美(いくみ)さんも「再開して1カ月たっても平日は全然。今だに5割にも満たない状況なので、すぐには戻らないかも…」と元気がありません。
「みんな自粛慣れしたんですよね。週末は出るけど、平日は家で食べるという新しい日常が当たり前になったというか。しかも『一次会はいいけど、二次会はダメ』という会社や『一次会もダメ』という会社も結構あるので、時間はかかると思います」
緊急事態宣言以降、テイクアウトに力を入れる飲食店が増えています。ただ、生美さん自身は「元々仕出しのプロではないから、暑い時期は食中毒が心配。理想はお店で食べてもらう形なので、店内でできることを精一杯考えたい」と話します。
北陸の味を気軽に楽しめる!
カウンター席と座敷で26席ほどある「哲太」の魅力は、北陸の食材を使った料理を楽しめること。店主の福島 哲郎さんが金沢で修業を積んだこともあり、北陸ならではの一品がメニューに並びます。
中でも、一番人気は「富山の白エビの唐揚げ」800円(税別)。おつまみにぴったり!
喜入産のとうもろこしを使った「スイートコーンのかき揚げ」400円(税別)も香ばしくて絶品。
日本酒も豊富で、日本酒をオーダーすると、自分好みのお猪口を選べるのも粋なサービスです。
20周年の大きな節目を前に…
実は「哲太」は今年8月で20周年。
料理人だった哲郎さんと結婚して以来、料理の道に進み、二人三脚で歩んできた生美さんにとって、20周年を迎えることは大きな目標でした。
「お店を始めた20年前って、すごく明るい未来を思い描いていたんですよね。だから20周年を迎えられたら盛大にお祝いをしたいという思いがずっとありました」
山あり谷ありの20年。2年前、哲郎さんが脳出血で2カ月間入院した時も看病の傍ら、店を休むことなく続け、一人で乗り切りました。
それだけに、二人で厨房に立てる喜びを実感している生美さん。ただ、天文館に活気が戻らない中、20周年の節目をどのように迎えるべきか、今も複雑な心境が続いています。
「自分たちが思い描いてきた20周年と今の状況での20周年は全然違います。新型コロナウイルスだけではなく、タカプラ跡地の工事の影響でお店を閉める方もいて、悔しい思いをしている方がいっぱいいらっしゃる。だから手放しでは喜べないんです」
取材の最後、二人並んでの撮影をさせてもらいました。二人ともいい笑顔!
いつ行っても、この飾らない笑顔で迎えてくれるのが「哲太」の一番の魅力なんですよね。
「二十歳の誕生日」は8月29日。
その日、天文館に賑わいが戻り、二人が心の底から喜び合える日になっていますように…。
心からそう思います。