「withコロナ」の時代、今まで当たり前だったものが当たり前ではなくなっていることの一つに、子どもたちの学びがあります。
わが家でも、東京の大学に通い、春休みから帰省中の長男は5月以降ずっとオンライン授業。鹿児島の大学に通う次男はリアル→オンライン→リアル→オンラインを繰り返しています。
オンライン授業が始まった時、親としては全ての授業がオンラインで行われると思っていたんですが、実際は違いました。
ズームなどのオンライン会議システムを使った授業は半分程度。課題や資料のみが提示されてレポート提出やテスト回答の授業もあれば、音声データを聞いてレポートを書く授業、そして休講もあったり。
しかも、オンライン授業でも双方向のやりとりは極めて少なく、一方通行の授業がほとんど。
始まったばかりの頃、どんなオンライン授業が行われるのか興味津々だった私は「今日は点呼があった?」「発言する場があった?」と息子たちに聞いていたのですが、一方通行が多いことにびっくり。
もちろん、発言を求められると面倒、と思う学生がいるかもしれません。
でも、もしも私が教える立場だったら、大学が閉鎖され、全国各地に学生が散らばった中でのオンライン授業だからこそ、授業の冒頭くらいは「今、君が住んでいる県はどう?」「今どんなことが大変?」と聞きたい。
授業中、せめて1回くらいは「はい」「いいえ」だけでもいいから、学生が声を出せる時間、意思表示できる時間を作りたい。
オンラインのメリットを生かす工夫を大人が示してこそ、将来を担う学生たちの心に火をつけられるんじゃないかな…。
そんなことを思う日が続きました。
実際、教員の問いかけで発言できた授業は一度だけ。その時の息子の感想は「集中できて楽しかった!」でした。
10秒の近況報告のメリット
明治大学の教授・齋藤孝さんとTBSアナウンサー・安住紳一郎さんとの共著に「話すチカラ」(ダイアモンド社)があります。
大学時代の先生と教え子という師弟関係だった二人が話す力について語り合う中、斎藤さんが大学の授業でのちょっとした工夫を披露しています。
「大学の授業で出席をとるときに、ただ点呼するだけではもったいないので、10秒程度で近況報告をしてもらっています。『きのう、髪を切りました』『〇〇という本を読みました』など、何を報告してもかまいません。特に個人情報を開示しなくてもいいという条件つきにすると、意外なくらい面白い話がたくさん飛び出します。
(中略)近況報告をするようになって、学生同士も仲良くなりやすくなりました。私が近況報告を促さなければ、こうした話は出てきません。やはり、いろんな人に興味を持って話を聞いてみるものです」
たった10秒の近況報告ですが、学生が発言できるメリットだけでなく、問いかけた大人はイマドキの学生事情を一瞬でインプットできるんですから、一石二鳥ですよね。
そういう意味でも、教える側の情熱や覚悟がはっきり見えてくるのが、大学での授業なのかもしれません。
もちろん、息子たちが課題のレポートをパソコンで仕上げていく中で、「へえ、新聞記事を読んでこんなことを考えてるんだ」「結構、しっかりまとめてるじゃん」と気づけることもいっぱいありました。だから、オンライン授業のおかげでいろんなことも見えてよかった、と思う今日この頃。
さあ、もうすぐ夏休みです!