焼き芋を作る壺の横でポーズを決めるのは、鹿屋市今坂町で「おいもdeカフェ」を運営する藤田京子さん(60歳)。
手作りで仕上げた店内はアットホームな雰囲気に溢れていますが、初めて訪れた人がまず驚くのが、おしぼりを出された際のおもてなし。
「おしぼりの中にハーブが入っております。ハーブを取り出してリラックスしてちょ〜ん♪」
2013年のオープン以来、軽快なかけ声とともにジェスチャー付きのおもてなしを続けているそうですが、知らなかった私はびっくり! 思わず吹き出し、そこから一気に会話が弾みました。
「とにかくおしゃべりが大好きなので、お客様がこの声かけで「うわあ、面白い!」と笑ってくださったら、『どこから来たの?』『鹿屋の観光スポットに行った?』と聞いて会話のきっかけが生まれるんです」
もちろん、お客さんの反応次第で臨機応変。
「そういったやりとりをすることでお客さんのことを覚えられますし、いろんな人との出会いがあって7年間やってこられたので、私にとって『人とのご縁』が一番の財産です」
そう話し、瞬く間に人の心を和ませてくれる藤田さんが手がける料理は、さつまいも料理専門カフェというだけあって、おいも尽くし。
ランチの一番人気は、ドリアにもスープにもお芋がたっぷり入っている「おいも屋さんのドリアセット」800円。
デザートの一番人気は「おいもdeパフェ」750円。焼き芋、大学芋、おいものチップスやスティックがたっぷり使われています。
規格外のさつまいもを有効活用
藤田さんがさつまいも料理専門のカフェを作ろうと思い立ったのは、夫が経営するさつまいもの販売会社で働く中で感じていた、あるジレンマがきっかけでした。見せてくれたのは出荷前の仕分けの際に出る規格外のさつまいも。
「うちは有機栽培にこだわったさつまいもを販売するため、生産者と直接契約して畑ごと買っています。そのため、大きすぎたり、細くて途中で折れた規格外のお芋が結構出るんです。今まで仕方なく捨てていたんですが、美味しいお芋なのに捨てるのはもったいない…という思いがずっとあって、規格外のさつまいもを料理に使ってカフェができればと考えたんです」
年々おいも料理のメニューが充実し、今では女性の来店が絶えない「おいもdeカフェ」。
今年8月にはお店の前に焼き芋やおいもクレープなどを販売するテイクアウトショップをオープン。そして11月にはB型就労支援事業所を開設して障がい者の就労支援にも力を注ぐなど、藤田さんは立ち止まることなく、常に新しい道を開拓しています。
しかも60代になり、カフェの経営を目指す女性たちを育てていきたい、という思いも強くなってきたそう。
「まずは一緒に働きながら、最終的には自分のお店としてカフェ運営ができる店長候補の人を育てていきたいと思っています。自分のお店を持ちたいという女性は多いので、ぜひこの店を利用して経験を積んでほしいんです」
規格外のさつまいもの有効活用にとどまらず、女性の夢応援にも動き出した藤田さん。
経験豊富で軽快なトークに耳を傾けながら、全て手作りのおいも料理を頬張ばれば、元気をチャージできること、間違いなしです!