子どもが中1の時に不登校になり、半年以上、解決の糸口を見いだせなかった上園陽子さん。
前回の記事 vol.1では、大阪で行われた「不登校の子どもの親同士が語り合う会」に参加し、経験者の話に心救われたことを伝えました。
「それまでずっと八方塞がりだったのに、経験者の方たちに『なんとかなるから大丈夫』と言ってもらえたことが大きな安心感になって、前に進む勇気を持てました。そして子どもの話に耳を傾け、いいところを見つけて褒める中で、子どもも私も変わることができたんです」
「変わった」といっても、みのりさんが学校に行くようになったわけではありません。
学校に行かない道を選び、行動しているみのりさんを陽子さん自身が認め、応援できるようになったことで、家族が笑顔で過ごせる時間が増えていったのです。
「みんながみんな、私のように経験者の話が響くとは思いません。でも、鹿児島でも一人で悩んでいる人はいるはずだから、不登校の保護者が集まって話ができる場を作りたい、と考えたんです」
鹿屋市で「不登校お茶会」を開催
こうして昨年2月、鹿屋市で始めたのが「不登校お茶会」。
不登校などで悩む保護者が自由に語り合い、経験者がサポートできる場を目指しています。
これは今年3月の不登校お茶会のフライヤー。
昨年は不定期開催でしたが、今年1月からは「助けを求めている人が参加しやすいように」と毎月開催。フライヤーも自分で作り、運営も一人で行っています。
「元々、積極的に行動するタイプだったんですか?」と聞いてみると…
「全然! 内気な性格で新しいことを自分一人で始めるなんて大の苦手でした」と陽子さん。
「でも私自身、藁をもつかむ思いで大阪に行ったからこそ、道が開けました。だから、自分のことを助けてくれる人は必ずどこかにいるし、そういう人につながるためにも、一歩踏み出す勇気を持ってほしいー。そのことを伝えたいと思ったら、動き出していたんです」
毎回10人ほどが集まる「不登校お茶会」。
しかしコロナ禍の影響で春以降、開催できない状況が続いています。
「6月にオンラインでやってみたんですが、オンラインだと悩みを語り合うのは難しいんですよね。残念ですが、実際に会って話せるようになるまで待とうと思っています」
不登校の先に、未来広がる!
今年4月、みのりさんは通信制高校に入学。自宅学習とスクーリングの傍ら、3年前に習い始めたカービングの技を磨き続けています。
今ではイベントでカービングを披露したり、
「こんな作品を作ってほしい」とオーダーが入るほど。
「最近は『プログラミングを本格的に学びたい』と言い出し、どんどん興味の幅が広がってる感じ。きっと自分に自信がついてきたんでしょうね。以前とは比べものにならないほど、生き生きと行動的になってきました」
みのりさんの様子を語る時の陽子さんは、本当に楽しそうです。
みのりさんの不登校が始まって早3年。
最後に、「みのりさんが不登校になってよかったと思いますか?」と聞いてみました。
「もちろん、よかったと思っています。 あの経験がなければ、今もくすぶっていたでしょうね。娘も変われたし、私も自分のしたいことを我慢せず、挑戦していこうと思えるようになりました。今では、娘の不登校は自分の心を整えるためにも必要なことだったと思ってます」
インタビューの最後に見せてくれたこの笑顔!
この表情こそが、今の陽子さんの心の中を表しているんでしょうね。
「不登校になったということは新しい可能性が広がるということ。学校だけに頼らなくてもスキルを身につける方法はあるから大丈夫、と伝えていきたいですね」と力強く語る陽子さん。
どうか、不登校で悩むお母さんたちが一歩踏み出せるよう、「不登校お茶会」が一日も早く再開できますように…。