2020年夏に始動した
「かごじょプレス〜kaGOJO press〜」。
でも、そもそも「かごじょ」って?
「かごじょプレス」の誕生秘話を
お伝えします。
「私だけじゃなかったんだ…」
半年ほど前、女性20人ほどが集まる交流会で、スイーツとともにおしゃべりを楽しんでいた時のこと。
「私、今まで、女性ではなく男性として生まれたかったと思うことが多かったんですよね」と話したら、なんだかザワザワ。
「あれっ、私、なんかやばいこと言っちゃった?」と思いつつ、「もしかして皆さんもそう思ったこと、あります?」
恐る恐る聞いてみると、なんと9割の女性が手を挙げました。
なんだ、私だけじゃなかったんだ…。
子どもの頃、おてんばで近所の男の子たちと外で遊び回っていた私は、「女の子なんだから、男の子と同じように塀によじ上って遊んじゃダメでしょ」とよく言われたものでした。
小学校に上がると「女のくせに出しゃばりすぎ」と男の子たちから目をつけられることがしばしば。
中学校でも相変わらず尖った男子と折り合いが悪く、「生徒会長は男子がふさわしい」という暗黙のルールの下、女子がなれるのは副会長がせいぜいでした。
高校は共学に進んだものの、ここまでくると一人で勝手に仮想宝塚空間を構築。
いっそ女子だけの世界の方が楽なのかも…。そんな理由で大学は女子大を選びました。
社会に出たら出たで、女性は結婚退職が当たり前。3歳児神話も当然のように語られていた時代でした。
専業主婦という環境の中で…
子育て真っ最中の頃、1年間、鹿児島県内各地の子育て中の女性たちと交流を深める機会がありました。みんな子どもたちのために一生懸命。でも…。
「お金にならない役員をなぜ引き受けるんだ」と夫に反対され、夫に内緒で役員を続ける女性。
関係が悪くなるのが怖くて、自分の言いたいことを夫に伝えられない女性。
出産以来、子どもを夫に預けて夜一度も出かけたことのない女性。
それぞれにいろんな事情を抱えていました。
ある時、大きな行事をやり遂げ、打ち上げと称した女子会をしようという話に。ところが、子どもを夫に預けて外出したことがない女性は「私は無理」と最初から諦めています。
そこで「どうしても出席しなければならない反省会があるから、数時間だけ子どもの面倒を見てほしい、とご主人にお願いしてみようよ」と提案。初めは渋々でしたが、彼女は勇気を出してご主人に話をしました。
すると…。
成功したのです。
その夜、数年ぶりに自分の時間を過ごした彼女の晴れやかな笑顔ったら!
「来てよかった〜」と満面の笑みで話す彼女を見て、私までうれしくなりました。
そして、この日を境に彼女は変わり始め、自らご主人と交渉して女子会にも進んで参加するようになったんです。
こうした経験を通して、ふと思いました。
もしかして、彼女のような女性はまだまだ多いのかも…。
私自身、専業主婦になってみて、専業主婦がこんなにも立場的に不安定で、孤立しがちで肩身が狭いんだ、と度々痛感。しかも自分の心の中の不協和音は私だけのものではなく、多くの女性が感じていたのです。
「これからは女性にエールを送り、女性の背中を押していける仕事をしよう」
40代からの進む道が見えました。
回り道が多いほど、人生は楽しい
2016年に「女性活躍推進法」、2019年には「働き方改革関連法」が施行され、この10年で女性を取り巻く環境は大きく変わりました。育児休業や時短勤務の制度が整い、誰もが能力やスキルを発揮しやすい世の中になりつつあります。
でも、家庭での女性の役割はほとんど変わっていません。
例えば、休日に家族みんなで出かけ、夕方帰ってきた時。「はあ、楽しかった!」とソファに腰を下ろしてくつろぐ夫や子どもたち。一方、主婦は「急いで夜ご飯の準備をしなきゃ」と買ってきた食材を冷蔵庫に入れ、料理モードに突入。ソファに腰を下ろす暇などありません。
今なお、献立を考え、料理するのは主婦。仕事の時間が増えた分、女性の忙しさは増しています。
でも、こんな風景も変わっていくはず。
ある女性が教えてくれました。
1人目を出産した時、ご主人が赤ちゃんをスリングにくるんで外出すると、周囲から怪訝な顔をされ、ご主人は引け目を感じたそう。でも3年後、2人目の時には父親が赤ちゃんを抱っこする姿が周囲にすんなり受け入れられ、ご主人は肩身の狭い思いをしなくてすんだと言います。
たった3年で世の中の空気は変わり、風景も変わっていくのです。
誰もが自分らしく自由に生きられるよう、みんなで少しずつ変えていけばいいー。
私も今まで回り道をいっぱいしましたが、与えられた境遇を受け入れ、自分の道を切り拓いていく女性に大勢出会えたことで、「女性は分岐点が多い分だけ人生を楽しめるー」。50代になってようやく、心の底からそう思えるようになりました。
「かごじょ」とは鹿児島の女性(=おごじょ)を意味する造語
これからの10年も多くの女性とともに笑い、ともに歩んでいきたくて、2020年6月、Webメディア「かごじょプレス」を立ち上げました。
時には子育てあるある話をママたちと語り、時にはズボラ主婦の楽家事話、またある時はプチ動画も織り交ぜながら、ゆる〜く展開していきます。
ちょっと一息つきたい時、誰かにちょっと背中を押してもらいたい時、「かごじょプレス」を訪ねてもらえれば、この上なく幸せです。