七夕の日の空に思うこと。

子どもの頃、鹿児島では「どこかで災害が起きなければ、梅雨は明けない」という言葉が毎年のように語られていました。

「どこか」は鹿児島県内のどこか。

実際、小学1年生の夏、梅雨の長雨で通っていた小学校の裏山が土砂崩れを起こし、崖上に立っていた数軒の家が土砂もろとも崩れ落ちました。山肌がむき出しになった土砂崩れの現場を見た時の恐怖、今もはっきり覚えています。

その頃、鹿児島は「台風銀座」ともいわれ、梅雨が過ぎ、台風の季節になると度々台風の直撃がありました。

東シナ海を進んでいた台風が鹿児島県本土に近づくと、きゅっと進路を変え、鹿児島県本土に向かって突き進んでくる。

当然、鹿児島県本土に上陸することが多く、最大勢力の台風の風雨に長時間さらされるわけです。

台風で停電が度々おき、雨戸を閉めているので家の中は真っ暗。

轟音が家の周りを取り囲む中、玄関近くの廊下に家族で身を潜め、何時間も風雨が収まるのを待ったこともありました。

暗闇の中での恐怖。そして「どうして鹿児島は水害がこんなに多いんだろう…」。幼いながらに思ったものでした。

あれから半世紀近くがたった今、地球温暖化の影響で線状降水帯は全国各地で発生。台風は予測不可能な進路をとり、自然災害は全国各地で起きています。

しかも2020年夏。今まさに、九州各地で線状降水帯が発生し、川の氾濫が起き、至るところで甚大な被害が発生しています。

九州は一つ。

そんな思いが強いだけに、旅行で何度も訪れた人吉の街並みや球磨川の風景が一変し、九州各地で生活の多くを失ってしまった方たちの心情を思うと、やるせない思いになります。どれだけ怖い思いをされたかと思うと胸が痛みます。

コロナ禍の今年、せめて今年だけは手加減してほしかったのに…。

鹿児島ではまた大雨が降り始めました。

今夜は七夕。本来なら笹の葉に願いを込め、七夕飾りに興じるのでしょうが、そんな心の余裕はなく、空の気配をうかがう他ありません。

どうか、これ以上被害が広がりませんように。

多くの人の願いが通じますように。